西城秀樹ゴールデン・ヒット・デラックス16/西城秀樹
秀樹にリアルタイムで夢中になったのは、記憶の確かな限りでは、「薔薇の鎖」がヒットしている頃だったので、1974年。小学校1年生の頃、ということになる。
その前年に「情熱の嵐」があって、それもテレビで見て聞いていたのだろうと思うけれども、そこははっきりした記憶がない。
「薔薇の鎖」は、そのスタンドマイクを使ったアクションを真似していた記憶がはっきりあるので、少なくともその頃には完全に大ファンになっている。
初めて親に買ってもらったLPレコードが、「西城秀樹ゴールデン・ヒット・デラックス16」というベスト盤だった。
もう今はどこにあるのかわからない。
調べてみると、このLPには1975年盤と、1976年盤があるらしい。
ジャケ写はもちろん鮮明に覚えているし、歌詞カードを枕元に置いて、全曲を死ぬ程歌いたおしていたので、収録曲も完全に覚えている。自分が買ってもらったのがどちらなのかは、一目瞭然。1976年盤だと判明した。
小2くらいで買ってもらったものだと思っていたのだけれども、1976年ということは、小3以降ということになる。
当時はこの1枚しかLPを持っていないのだから、生涯で最も繰り返し聴いたレコードは、もしかするとこれかもしれない。
秀樹の訃報に関しては、思うところいろいろありすぎて何も言えません。
1970年代の歌謡界は、LPレコードはまさに粗製乱造の時代であって、いい加減なカバー・アルバムやライヴ盤を含めると、年に4枚も5枚もアルバムを発売している。
そうしたもののほとんどはCD化されることもなく、聴いたことがない。
それどころか、秀樹の場合は、ヒットシングルが多すぎるせいか、シングルB面曲すら、網羅的に収録したCDがない。
中古のアナログ・レコードを探すしか、今のところ方法がない。
これを機に、そうした音源が入手できるようになることを願いつつ、心よりご冥福をお祈りいたします。
名古屋 CLUB UPSET でアカシックを観る
アカシック 春の対バンツアー「赤船来航」、5月17日 名古屋 CLUB UPSET。行って来ました。
対バンはベッド・イン。
深夜のテレビで何度か見かけたことがあっただけだったのでただのエロネタ芸人だと思ってたら、ベッド・インってちゃんとしたバンドだったんすね。知りませんでした。
あ、「地下セクシーアイドル」っていうのか。
しかもちゃんまいの方は普通にギターがっつり弾いてた。ソロとかも普通に上手で、客の煽り方はパンク・テイスト。パンクスあがりと見た。
客も、ジュリ扇持ってたりベッド・インのTシャツ着てたりするのがざっと見たところ半分近くいて、予想外にもこっち目当てがかなり多い。
最初に50分くらいやったんだけども、そういう状況だし、アカシックのメンバー使っての生着替えとか(笑)、例の反則技連発なので、盛り上がらないわけがない。
アカシック「CGギャル」のカバーも披露するサービス精神。
これはもしかするとアカシック食われちゃうんじゃないかとちょっと心配になる。
理姫も同じ不安があったようで、楽屋に届く差し入れがベッド・イン宛てばっかりってMCで愚痴ってました(笑)。
で、休憩はさんでいよいよアカシック。
初めて観るライヴでの理姫ちゃんは、思わずちゃん付けしてしまうチャーミングさ。
「どうせ私なんか」的なやさぐれ感、場末のお水感、自分のチャームを熟知していてそれを存分に利用する悪女感、などなどを発散しながらも、サブカル、アングラ系の知性も感じさせる。やっぱり「健康な戸川純」ってイメージが頭をよぎった。
所作のひとつひとつが実に魅力的で、パフォーマーとしても素晴らしい。
もうそれだけで十分(笑)。
男も女もおりこうさんな感じのバンドばっかりになってしまった昨今、「おめーらクソして寝ろやー」とか言える女ボーカルは貴重です(笑)。
「バンドマンとか別に好きじゃないしー。もっと力持ちの方がいいしー。お金持ってる方がいいしー」っていうのが今回のベストMC(笑)。
アンコール含めて1時間強くらいだったので、もっともっと観たかったけども、ちっちゃいハコで間近で観れて幸せ。
今回はほとんどずっと理姫ちゃんに釘付けになってしまいましたが(笑)、バンドもみんな楽しそうに演奏してていい雰囲気。技術的にも十分でした。
奥脇くんのギターも予想通りよかったんだけれども、全編テレキャスで通すのはちょっと気になるところか。
曲の少なくとも半分くらいはレスポール系の太い音の方が絶対いいと思うんだけど。
よほど気に入ってんのかな、あのテレキャス。
セトリもよかったし、ツアーずっと追っかけたいくらい(笑)。
早くも次の夏のツアーが発表されたけれども、遠方ばっかりで無理だー……
エロティシズム/アカシック
2枚めのフルアルバム。
素晴らしい。
個人的には5年に1枚レベルの傑作。
特に1曲目から5曲目までの流れは、理姫のやさぐれ感と毒気と知性の本領発揮という感じで、まさにこれを待ってましたっていう出来。
初期の良さがグレードアップして復活。
後半は前作「凜々フルーツ」路線でポップ色が強くなるけれども、捨て曲なしの充実のクオリティが見事。
「ブラック」とか「you&i」とか、名曲。
理姫って、決して歌がうまいわけではないんだけれども、行ってこい的なブチ切れっぷりが聴いててすごくカタルシスがあって、この感じはどこかで経験したことがある気がすると思ったら、戸川純に近いものがあるんじゃないかと思いました。サブカル的な匂いも含めて。
思わずライヴのチケット取ってしまいました。
明後日観てきます。
凜々フルーツ/アカシック
メジャーに移籍。初のフルアルバム。
インディー時代に比べるとずいぶんポップになった、丸くなった、毒気が薄まった、と思ってしまうのは、ジャケの印象だけではありますまい。
売れてやろうっていう色気が強く感じられるのは頼もしいけれども、これまでの理姫の強烈なやさぐれビッチ感を愛する立場からすると、やや残念な気もする。
が、じっくり聴いてみると、理姫の詞も含めて、曲自体はさほど変わっているわけではなくて、ポップ化した印象が強いのはアレンジの力が大きいということがわかってきます。
外部のアレンジャーとして釣俊輔も入っているけれども、奥脇くんの能力も相当大きいと思われ。
イントロだけ聴いてたら、aikoかいきものがかりかと思うような曲もある。
すぐにでも蔦谷好位置くらいの仕事ができるんじゃないかとさえ思ってしまいます。
若いのに随所に遊び心もあって、感心しきり。
インディー時代みたいなトンガッたオルタナ・ロック風味がもっとあると個人的には嬉しいんだけれども、それでも「8ミリフィルム」とかはやっぱ名曲。
地味だけど「飴と日傘」や「うたかたの日々」「ロリータ」みたいな曲にも才気を感じます。
アルバム最後「夢遊」のギターソロとか聴いてると、奥脇くんは60~70年代のロック・クラシックスもちゃんと引き出しに入ってるなーと。
DANGEROUS くノ一/アカシック
メジャー1作目。
基本的にはインディーズの2作の延長線上だけれども、ややポップさが目立って、理姫の毒が薄まってる印象でしょうか。
「香港ママ」とか「ベイビーミソカツ」とか、奥脇の多才さ、器用さも印象的。
ジャケは個人的にはちょっといただけません(笑)。