うるう日記

日々の音楽、ときどきオーディオ、楽器。 4年で1000枚のアーカイヴを目指します……

ソロ・モンク/セロニアス・モンク Solo Monk / Thelonious Monk

今ならジャズもメソッドが完全に確立していて、ネットでも本でも教室でも、ちょっと楽器のできる人がその気になれば、効率的に理論や演奏法を勉強することができる。

誰にでもできる、とまでは言わないけれども、それほど図抜けた才能がなくても、やる気を出せばジャズのような複雑な音楽だって演奏できるようになる環境は整っている。

 

しかし、オリジネーターの時代はもちろんそうではない。

40年代~50年代にかけてモダンジャズを生み出した人たちの時代には、当たり前だけれども、メソッドなど何もない。

 

セロニアス・モンクのソロピアノを聴いていると、とにかく「下手」なのに驚く。

よたよたとつっかえながら進むリズム、からまるような心もとない指使い、突拍子もなく現れる極端なアクセント、ミスタッチかと思うような独特の和声……。どれを取っても、技術的には、今時ならその辺のピアノ教室でもダメ出しされそうな弾き方だ。

今ではすっかり確立したジャズの「技術」がここにはまだ全くない。

メソッドがなくて、むき出しの才能だけがある。

と言うか、才能しかない。

ソロ・ピアノ作品だとそれがより鮮明になるから、セロニアス・モンクは特にソロがいい。

この奇妙な演奏が感動的なのは、モンクの強烈なセンスや黒いフィーリング、そのナマのままの感受性が、技術的な虚飾なしに、むき出しになっているからでしょう。

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